出来たものから載せようと思います。 というわけで4の【意外と可愛いところもある】をUP。 ……S玉さん、先日の絵茶の戦利品、使わせて頂きました!(サムズアップ) 「……噛み千切るつもりか?」 笑みを含んだ声でそう言い竦められ、ミケランジェロは舌打ちをして煙草を灰皿へと押し付けた。確かに吸殻にはしっかりと歯型が残されていて、それを見てまた舌を打つ。 「いつにも増して不機嫌そうだな、ミケ?」 癖のある赤毛の男が、腕組みをしたままミケランジェロの隣に立った。その姿を横目で見上げ、また新しい煙草を咥える。 「何言ってんだオールバック、俺はいつもこんなだろうが」 「……そのオールバックと言う呼び方は止めぬか」 「ん? あァ悪かった、ストーカーの方が良かったか?」 「ッ誰がいつストーカーをしたと言うのだ! と言うか貴様それを何処で聞いた!?」 「掃除屋の情報網なめんじゃねェよこのストーカー」 「だから私はストーカーではないと言っておる!」 非常に不名誉な称号を連呼され激昂した錬金術師は、額に手を当てて溜息を吐いた。 「……やはり不機嫌ではないか」 そして、普段のトーンに戻って呟く。ミケランジェロは肩を竦め、紫煙を吐き出した。 「いや?楽しそうだなァ、って見てただけだぜ」 「混ざりたいのか」 「とんでもねェ」 クレイは苦笑し、先刻から紫の瞳が見詰め続ける方向に碧眼を向けた。 8の手足を持つ少年と、修羅と手合わせをし惜敗した少年の義兄と、楽しげに手合わせの様子を見ていた青銀の楽師とが、修羅を取り囲んでいた。 彼らの楽しげな笑い声が響く。しかし掃除屋は、独り複雑な表情を浮かべていた。 クレイは小さく首を傾げ、そんな4人と掃除屋とを見比べていたが、ややあって少年に振り回され狼狽している修羅の様子に気付き、合点する。 「……成る程。『アイツで遊んでいいのは俺だけだ』か?」 その言葉にぴくり、と眉を動かし横目で睨め上げて来たミケランジェロに、意味ありげな笑みで持って返す。ミケランジェロは視線を逸らすと、呆れた様に頭を振った。 「何だ、その独占欲の強いサドの彼氏みてェな台詞は」 「……その表現、あながち間違っていないのではないか?」 「誰が誰の彼氏だよ。相変わらずお前の思考回路はぶっ飛んでんな」 「お褒めに預かり光栄だ」 「褒めてねェよ」 心持ちふてくされた様な表情でミケランジェロは頭上を振り仰ぐ。横目でクレイの碧眼を捉え、ふ、と小さく笑み、呟いた。 「しかし――よく笑う様になったよな、アイツも」 「……残念ながら、私はあの表情豊かな昇太郎しか知らぬが」 「だったらそれでいい。……知らねェ方がいいぜ、苦しそうな微笑しか出来なかった頃のアイツなんて」 深みを帯びたミケランジェロの物言いに、クレイは何も返さなかった。彼らの間にあるはずの、深い深い何かを感じ取ったから。ただ口元を緩めて、笑みだけを返した。 トランペットを提げた青年と異形の少年が、こちらに向かって手を振っている。 PR ※ Comment
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